インドシナ半島に位置するラオスは、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーに囲まれた内陸国である。1986年以降、社会主義を標榜しながら市場経済を推進してきた典型的な低所得国である。過去30年間、鉱物資源や電力の輸出によりGDPは年々増加しているが、人口の65%が住む農村部の農業は不振で、都市部と農村部の経済格差も拡大している。
このような状況の中、ラオス政府は過去30年間、海外ドナーや国際機関の支援を受けながら、農村部の貧困削減や農業・農村開発に取り組んできた。しかし、慢性的な財政難のため、新規開発予算の大半を海外からの財政支援に頼らざるを得ない状況が続いているのが実情である。また、外国からの援助が終了した後も、そのような財政難のために、プロジェクトの活動を維持・継続するための十分な予算措置がとれないことも、政府の行き詰まりのひとつである。その結果、協力期間終了後にプロジェクトの活動が中断されるケースも少なくない。
このような背景のもと、本研究では、JICAがラオスで実施した農業・農村開発プロジェクトを「有効性・持続可能性」の観点から検証し、グッドプラクティスを抽出することで、プロジェクトをより効果的かつ持続可能なものとするための可能な方策を探ることを目的とする。