国連に加盟する先進諸国は国民総生産(GNP)の0.7%まで政府開発援助(ODA)を増やすことが1970年の国連総会で採択されて以来、ほぼ50年が経過しようとしている。この「GNPの0.7%」という国連の目標については、その後「国民総所得(GNI)の0.7%」という目標に変更されている。1980年代及び1990年代においては、開発途上国がこの20年間に直面した累積債務問題及び金融危機の軽減のために、先進諸国のODA及びその他の公的金融支援は非常に重要な役割を演じた。
しかしながら、1990年代の後半から世界経済は著しく変化した。開発途上国に対する海外直接投資や個人の海外送金を含む民間資金の流れが急激に増加し、開発途上国に対する民間資金の総額はODAやその他の公的金融支援の総額の2倍、3倍に達するほどになったのである。同時に、中華人民共和国に代表される新興国が年間7%の成長率で国内総生産(GDP)を増やし、急激に世界経済における存在感を増したのである。
このような状況を踏まえ、国連は先進諸国にのみ課している上述のODAの目標を見直し、開発やその他のグローバルな課題に対し一層新興国に貢献してもらうために先進諸国と新興国の間でより包括的な政策調整を実施するとともに、開発途上国の支援において民間資金を一層動員するために、ODAと民間資金とのパートナーシップを促進するための新たな政策を策定するように努めることが重要である。