占領期における民生委員制度改革―埼玉県の民生委員活動を中心に―
橋本理子
公的扶助の日本的性格を規定する大きな要因であると言われる民生委員制度に大きな影響を与えたと考えられる浦和市で行われた「モデル福祉事務所」構想がどのような経緯で実行に移されたのかについて、民生委員側の意向、軍政部の意向を明らかにしたものである。民生委員と軍政部の意向や現状認識には大きな隔たりがあった。この隔たりが「福祉主要目標6項目提案」で掲げられた「民生委員を公的責任から最終的に外すことを規定する」ことがかなわなかった一因であることを論じた。
立正社会福祉研究
12巻
2号