埼玉県社会事業形成過程を検討し、以下の研究成果をあげた。社会事業形成を論じる際に「生活」に視点をおき社会事業の形成を検討するという新しい方法を示したこと。埼玉県の社会事業形成は通説とは異なり1931(昭和6)年ごろであると論証したこと。社会事業形成の背景は、国家による強制のみではなく地域における実践活動の積み重ねや地域の意向があったことが解明されたこと。埼玉県における社会事業形成の契機となった福利委員から埼玉県方面委員制度の転換が非連続であったことを明らかにしたこと。これらは、日本を一つの単位とした研究では解明されなかった成果であり、地域史研究の有効性も示された。