本研究は、我が国のスポーツの発展・振興に多大な貢献をしてきた学生スポーツ組織の現代社会における意義と役割について考察した。特に本研究においては、基本的な組織形態は成してはいるものの、組織論的な外部環境と内部環境の分析が十分とはいえない関東大学バスケットボール連盟を事例に分析を進め、内部環境の『人』という資源に着目、現代社会が求める要素として「社会人基礎能力」の向上を挙げ、インターナル・マーケティングを実施し、学生スポーツ組織の運営改革によってその可能性が期待できることを分析した。
本研究により、現代社会における学生スポーツ組織の組織運営の在り方として「高等教育で展開される競技スポーツとして、競技力と人間形成の向上という社会の期待を理解し、刻々と変化する社会情勢を踏まえながらスポーツに内在する教育的可能性を広く伝えることであり、単に競技人口を増やすというものではない」という普及の概念が示唆された。また「競技力向上も含めて、現代社会が求める学生スポーツの在り方を検討し、組織運営に反映させて新たな価値を創造し、学生スポーツに取り組んでいる学生に付加価値をつける」という意義と、「外部環境に適応するための理事会を機能させてその教育的意義と社会的役割を広く社会に発信し、現代社会の期待に応える」という役割が示唆された。