昔話の「残酷なエピソード」に着目し、残酷な描写をそのまま伝える意義について文学的・心理学的観点から考察した。残酷な描写をそのまま伝える意義は次の2点による。
①文学的立場: 昔話は切り紙細工のように平面的で抽象的に語られて詳細な描写はないため、子どもは恐怖を感じるというより物語の「骨組み」として捉える。むしろ、主人公が恐怖や辛い環境を乗り越えてハッピーエンドに至ることは、子どもに生きる知恵や勇気を与えることにつながる。
②心理学的立場:魔女や山姥など残酷な描写につながる存在は、子どもの自立を阻む内面的な葛藤の象徴なので、それらを越えることが子どもの精神的成長いつながる。また、怖さや驚きという強い情動を伴う話は記憶に残りやすく、文化としての伝承を助ける役割も果たしている。